唯一無二の個性 XF30mm F2.8 R LM WR Macro レビュー
快適かつ寄れる、Xマウント唯一のキャラクター
いつも本ブログをご覧頂きありがとうございます。
今回は寄れる標準レンズのXF30mm F2.8 R LM WR Macroのレビュー記事をお届けします。
気楽にお散歩するならこのレンズ!レベルで気に入りました!
結論
寄れて・軽くて・良く写る、
3拍子揃った「替えのきかない」レンズ
このレンズをおすすめする人
- 軽くて寄れるレンズが欲しい
- 画質だけでなく、快適性も大事
- レンズ交換無しでシームレスに寄りたい
逆に寄る必要のない方は23mm or 35mm F2、もしくは新プライムのXF23mm F1.4 かXF33mm F1.4も要検討。
スペック
主なカタログスペックは下記にまとめました。
F値 | F2.8 |
フィルター径 | 43mm |
最大径×長さ | 60mm×69.5mm |
重さ | 195g |
レンズ構成 | 9群11枚 |
絞り羽根 | 9枚 |
最短撮影距離 | 0.1m |
最大撮影倍率(フルサイズ換算) | 1.5倍 |
AF方式 | リニアモーター |
防塵防滴 | 対応 |
焦点距離は30mmで、フルサイズ換算は46mmとなります。
インナーフォーカスのため少し細長いですが、標準画角で軽量なお散歩レンズです。
最大の特徴は標準画角でありながら、レンズ先端約2センチまで寄れる点です。
純粋なマクロとしての使い勝手は60や80に劣りますが、寄れる標準レンズとしての使い勝手は抜群です!
ビルドクオリティ
金属とプラの混合ボディですが、見た目は悪くはありません。
常用レンズとして売り出しているので、200g切りに拘ったのかな?と思われます。
フォーカスリングと絞りリングは節度良く動き、好印象です。
絞りリングの感触については、XF18mm F1.4やXF56mm F1.2 II型よりもう少し重く、しっとり回ります。
描写性能
全体的な印象
基本的に雰囲気良く写り、4000万画素にもしっかり追随しています。
レンズ構成11枚中、非球面3枚にEDレンズ2枚と半分弱が特殊レンズで構成されており、各種収差は抑制されています。
中央は開放からしっかり写り、四隅は2段絞れば納得の画質に。
基本的にはしっとりボケますが、ボケ量が不足するとおや?と思う場面も。
玉ボケは円形にはなりませんが、雰囲気を損なわないよう工夫されている印象。
XF16-55mm F2.8と比較しても遜色無いかそれ以上と感じますが、流石に新プライムには劣る印象です。
軽量ながらも、大変良く写ります。
シャープネス
近接
近接は開放からよく写り、絞れば多少解像度は上がります。
流石マクロレンズ。
遠景
中央は開放からF8くらいまで絞っても大きく変わらず、F4がピークな印象です。
※参考画像は中央部分を大幅にトリミングした写真です。
四隅
中央と比べると解像力は落ちており、しっかり写すにはF5まで絞る必要があります。
寄った際は隅の画質は関係無く、風景を撮る際は絞るのでほぼ問題無しです。
ただ、夜のスナップなどは厳しい場合も。
ぐっと解像力が上がりました。
ボケ
寄った際はスムーズにぼけ、美しさは必要充分です。
ただしボケ量が不足するとおや?と思うシーンも。
玉ボケ
開放は口径食、絞ると変形するので円形を維持するのは苦手。
ただ光源が強くなければ、変形は目立たず雰囲気を損ないません。
寄って玉ボケを大きくしても、健闘していますね。
ただし、光源が強いとガタガタになる場面も。
年輪ボケはあまり目に付くことはなく、その点は素晴らしいと思います。
XF80との大きな差別点です。
収差
開放から色収差はしっかり抑制されています。
また球面収差も良く抑えられており、開放からほわっとせずシャープに写ります。
ただしコマ収差の影響は感じますので、イルミネーションや星景は絞る必要が有りそうです。
逆光耐性
逆光耐性は良好で、太陽をフレームに入れてもフレア・ゴーストはよく抑えられています。
強み/弱み
強み
とにかく快適
・防塵防滴
・インナーフォーカス
・リニアモーター
・重さは200g切り
上記の要素から本レンズは非常に快適性が高く、持ち出そうと思えるマクロレンズです。
同じマクロである、
・XF60mmはハーフで防塵防滴がなく、DCモーターでAFは遅い
・XF80mmは750gと重い
・サードパーティは防塵防滴が無いか、そもそもマニュアルフォーカス
というパターンが多く、本レンズの快適性と唯一性が際立ちます。
またピント合わせがシビアなマクロ域についても、LMのAF-Cで多少の前後の揺れ程度はカバーできます。
その為、マクロ撮影自体のハードルが下がっており、大変気楽に楽しめる点も○。
今まで使った中で、1番ハードルの低いマクロレンズです。
どこまでも寄れる標準レンズ
中望遠でなく標準画角だからこそ、日常の使い勝手も抜群です。
そこに最短撮影距離0.1mと寄れない被写体は無いレベルのマクロ性能が加わり、寄りも含めて日常を切り取るにはこの上ない使い勝手を誇ります。
風景から、
マクロの世界まで、これ一本でシームレスに撮影できる体験は病み付きになります。
弱み
過信出来ない画質
解像力は必要十分ですが、カミソリレベルまでは解像しませんし、隅も2段絞らないと改善しません。
比べるのは酷かもしれませんが、新プライムで感じられるような感動レベルには至りません。
10万近い定価を加味すると、もう少し開放の隅の画質まで頑張って欲しかったというのが本音です。
開放F2.8
マクロとのトレードオフですが、開放F値はF2.8と明るいとは言えません。
人物撮影など、寄らない場合にボケを活かした描写はあまり期待出来ません。
大人しくレンズを使い分けましょう。
競合するであろうF2シリーズは値段も半分強で、F値は一段明るいF2です。
普段寄らないのであれば、ssの観点からもF2以下を選んだ方が無難です。
本格的なマクロには向かない面も
寄れる標準レンズというコンセプト上致し方無いのですが、本格的なマクロ撮影には向かない面もあります。
最短撮影距離での撮影はレンズ先端から2センチ程になり、自身やレンズが影となる場合がありますので、光源を含めた位置取りに工夫が必要です。
また広角ほどでは有りませんが、寄るとパースが掛かり、被写体の変形は避けられません。
物撮りで、正確に被写体の形を記録したいニーズには向かないと感じました。
トリミング前提で引きで撮るか、4千万画素機ならデジタルテレコンで撮るなど、工夫が必要です。
4.作例
様々なジャンルが撮影できるレンズなので、ジャンル別にお送りします。
身近な自然を
同じ紫陽花ですが、寄ることで異なるバリエーションを撮影出来る点が強み。
このような写真もマクロならでは。
F2.8ゆえボケは控えめですが、寄れば話は別。
小さなアベリアもご覧の通り。
手が届く範囲の被写体には、寄り引きを併せてバリエーション豊かに撮影できます。
反対に手の届かない被写体はボケで処理するのが難しく、構図力が試されます。
テーブルフォトに
旅行に
軽くコンパクトなので、旅行にも気楽に持ち出せます。
街並みを自然な遠近感で撮影できます。
50mmに通ずる収まりの良さ。
どこまでも寄れるのと、軽くてAFが効くことを活かした、手持ちのグルメ撮影が捗ります。
通常のレンズだとここまでは寄れません。
物撮り
ワーキングディスタンスが短いものの、物撮りもこなせます。
ストリートスナップにも
換算50mmより僅かに広い、46mmの画角はストリートスナップにも向いています。
5.まとめ
軽くて写りは良く、AFは速く防塵防滴で寄れると、とにかく制限を受けない自由なレンズです。
それがXマウント内の唯一無二の個性となっています。
光学性能は過信出来ない、F2.8は中途半端、本格的なマクロをするには焦点距離が短いと欠点は有りますが、日常撮影の延長線上で寄りの撮影をしたい方にはこの上ない一本となってくれる事でしょう。
ここまでご覧頂きありがとうございました!
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません