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最高の趣味レンズ NOKTON 35mm F1.2 X-mount レビューと作例

2023年7月27日

本ブログをご覧頂き、ありがとうございます。

今回はコシナ フォクトレンダー のNOKTON 35mm F1.2 X-mountのレビューと作例をお届けします。

美しいボケと描写の変化を楽しむ 一年使用してのレビューと作例

X-H2 F1.4
とろけるようなボケと、薄くヴェールが掛かったような滲みが癖になるレンズです。
結論

絞りで描写が変わる、一本で二度美味しい個性

趣味性が高く、AFレンズとは違った撮影体験をさせてくれる

F1.2の大口径と196gの軽さの両立

このレンズを買おうか悩んでいる方、作例を見てみたい方は是非最後までご覧ください。

こんな方にオススメ!

趣味性を重視する方!
軽さ重視の方!
オールドレンズのような写りが好きな方!

こんな方にオススメ!

趣味性は大事にしたい

レンズは軽い方が良い

オールドレンズのような写りが好き

ハマる人はどハマりする、魔性のレンズです笑

 


1.はじめに


コシナさんから発売された、X-mount対応のマニュアルフォーカスレンズです。
待望の方も多かったのではないのでしょうか?

かく言う私も待ち望んでいた1人で、発売の情報を得てテンションがかなり上がりしました。

ただ同時期に発売された、XF33mmF1.4 R LM WRとどちらを購入するか悩みに悩みました。
結局メインの被写体が子供である事を重視し、AFのあるXF33mmを選択した次第です。

ですがこのレンズへの想いは抑えきれず、毎日作例やレビューをネットで漁る日々・・・
ほぼ同じ焦点距離にF値なのにも関わらず、です・・

完全に病気ですね笑

しかし購入してみて分かったのは、XF 33mとは全くの別腹レンズということでした。
その違いについても触れながら、レビューしていきたいと思います!

というわけで、まずはスペックからです。

焦点距離 35mm (フルサイズ換算:53mm)
口径比 1 : 1.2
最小絞り F16
レンズ構成 6群8枚
絞り羽根枚数 12 枚
最短撮影距離 0.3m
最大撮影倍率 1: 6.7 (フルサイズ換算:1:4.5)
最大径×全長 φ59.6×39.8mm
フィルターサイズ φ46mm
重量 196g
電子接点 あり(対応ボディは限られています)
Exif情報 対応
フォーカスチェック 対応

抑える点としては

・MFレンズ

・純正のコンパクトプライム並みに小さくて軽い

・電子接点がある

・F1.2だが、開放からシャープには写らない
(後述の描写の項目をご覧ください)

・最大撮影倍率は大体フルサイズ換算0.225倍(XF33mm F1.4とほぼ同じ。)


2.外観

絞りリングとフォーカスリング、そして距離指標を備えたクラシカルな外観をしています。
オール金属製で高級感のある見た目です。
その外観故に、X-Proシリーズとのマッチングが最高の一言です。

特にX-Pro3のパララックス補正にも対応し、OVFの邪魔にならないと、まさしくX-Pro3の為にあると言っても過言でないレンズです。

もはやインテリアになるレベル。

もちろんTシリーズなど、他のシリーズにも良く合います。

X-H2にも付けていますが、違和感無く使えます。

3.操作/機能性

ポイント

  • 操作性が最高
  • 写欲を損なわない軽さ
  • 電子接点のおかげで使い勝手も良好
  • 防塵防滴ではない

優れた操作性

MFレンズですので、操作性は非常に重要です。
本レンズの絞りリング及びフォーカスリングの操作性は適切な重さが有り、官能的ですらあります。

XF 33mm F1.4も適切な重さと節度感が有り操作しやすかったのですが、それはfuji純正レンズ内での話だと気付かされました。

一度NOKTONを味わってしまうと、他のレンズの操作感がガサツに感じてしまいますよ、本当に。

ちなみに小さめなレンズではありますが、操作し辛いとは感じませんでした。

ただし富士の純正レンズを使用した際のフォーカスリング回転方向とは逆ですので、その点は注意が必要です。
※本体設定で回転方向を逆に変更することにより、純正レンズをNOKTONに合わせることは可能です。

特筆すべき携帯性

重さが196gと非常に軽いので、X-Pro3に装着しても合計約700gと片手で楽々扱えます。
純正F1.4クラスの400gほどのレンズを装着した際はおおよそ900gとなり、片手で扱うには少し重さを感じます。

重さだけでなく全長も短い点も高評価。

持ち歩いても疲れにくく、気軽に持ち出せるサイズ感ですので、写欲を損いません。

MF レンズの弱点を補う電子接点

電子接点付きですので普通のMF専用レンズと違い、exif情報を記録出来る点も優秀です。
X-Pro3でしたらフォーカスリングに連動して、OVFのパララックス補正も可能です。

唯一の弱点

基本的にはメリットだらけなのですが、デメリットとしては防塵防滴では無い点です。
私は防塵防滴の安心感を重視するタイプなので、扱いに注意が必要な点がマイナスポイントに感じます。

使用後にブロアーでホコリを飛ばすようにしていますが、いつかレンズ内に異物が混入するのではと恐れています汗

気にならないという方にとっては、特に欠点の無い素晴らしいレンズとなるのではないのでしょうか。


4.描写

ポイント

  • 絞り値によって描写の変化を楽しめる
  • 開放でも絞っても滑らかなボケを得られる
  • フレア、光条を表現に盛り込みやすい
X-H2 F1.2

開放では収差によるヴェールの掛かった独特の世界を演出でき、

X-H2 F2.8

絞るとボケの美しさは保ちつつ、真面目な描写に。
玉ボケも美しいです。

X-H2 F1.2

レンズによってはうるさくなりがちな上部分の枝も、溶けるようにボケます。

F3.2まで絞っても
F6.4まで絞ってもボケは滑らか。
X-H2 F1.2

開放だとゴースト・フレアが簡単に出せます笑

周辺減光

出ていますが、穏やかなレベル。
気になることは少ないと思います。

周辺画質

左上の拡大です(開放)

中央と比べれば流石に落ちますが、開放から目立つ流れは感じられず個人的に満足しています。

絞れば周辺画質も向上します。

描写の変化

開放はフワッとベールが掛かったような、優しい描写です。
このベールがクラシックネガに本当に良くマッチします。

絞るにつれてシャープにかつ霧が晴れていくかのように、クリアになっていきます。

開放からシャープに写って欲しい方には、XF33mm F1.4をおすすめします。

大体F2.8まで絞れば、しっかりシャープな印象です。

併せてボケの滑らかさにもご注目ください。

F1.2 ハイライト部がフワッとしています
F1.4にするだけでもスッキリします
F2.0
ここから描写がスッキリ方向に変わっていきます。
解像感も得られつつnoktonの個性も感じられる美味しいf値です。
F2.8
左端の写り込みは無視してください、、、
F4.0
ここまで絞ればほんわり感はかなり無くなります。
背景はうるさくなりがちな枝ですが、綺麗にボケています。

私の体感ですが、フワッとなる条件としては下記です。
①撮影距離が短い
②ハイライト箇所を撮る

逆に距離があるシャドー部は柔らかさを残しつつも、ちゃんと描写しています。

開放ですが、あまりフワッとなっていないです。

パープルフリンジ

開放付近に発生し、絞れば改善していきます。
F2.8で僅かに残り、F4.0でほぼ目立たなくなります。

F1.2
F1.4
F2.0
F2.8
F4.0

フォーカスブリージング

あります。
この辺りは静止画用のレンズとの割り切りかと思います。

玉ボケの角張り

絞り羽根を12枚使用しておりますが、絞ると若干の角張りが目に付く場合が有ります。
イルミネーションなど光源が強い場合にその傾向が感じられます。
同じシチュエーションですと、9枚のXF33mm f1.4の方が真円に近く感じました。

口径食

大口径レンズなので、どうしても出てしまいます。

F1.2
画面全体に玉ボケを出すとこのような感じになります
F2.8まで絞ると口径食もかなり軽減されます

年輪ボケ

非球面レンズを使用していないおかげか、見つけられませんでした。
美しい玉ボケを楽しめます。

サジタルコマフレア

F2.8まで絞れば改善されますが、それまでは見事に出ます。

F1.2 周辺は出ていますね
右下拡大です。見事に鳥が羽ばたいています。
F2.8まで絞れば改善されます。

光条

軽く絞るだけで美しい光条が現れるのも特徴です。
下記画像は拡大ですが、光源次第でF1.8でもこのレベルまで伸びますし、何ならF1.4でも出ます。
絞れば絞るほど伸びていきますが、F8.0あたりから虹色のゴーストも現れるので絞りすぎ注意です。

描写のまとめ

現代のオールドレンズ

F値で描写が変化するのが最大のポイントです。
それ故SSを稼ぐ為に開放にするとシャープネスが犠牲になりますし、シャープネスを得ようとするとSSと被写界深度が犠牲になります。

その分絞りで描写に変化を持たせることが出来ます。開放はオールドレンズのようにゆるふわ、絞って現代レンズのようにくっきりと、一本で異なる描写が可能です。

昨今の開放からシャープなレンズとは異なる使い方、理解が必要だと感じました。

ちなみに個人的にはF2が1番美味しいF値だと考えています。

露出プラス目で撮る、子供のスキントーンが滑らかで最高の一言です。

ピントのあっている箇所はまつ毛一本一本をしっかり解像するレベルでシャープですが収差の影響も少し残っており、デフォーカス部はソフトかつなだらかにボケるので、子供をふんわり撮るには最高と感じました。

XF 33mm F1.4は毛穴が写るレベルで解像しているので、ふんわり撮りたいならNOKTONに軍配が上がるかなと感じています。

5.動体撮影について

子供についてですが、私は可能だと考えています。
ただし失敗を許容する心持ちが必要です。
そして撮れない瞬間が出てくる事にも、割り切りが必要です。
ただし良い瞬間を切り取れた時の快感は格別ですし、その一枚に対して思い入れが強く感じられますね。(自己満足ですが・・・)

ただし不規則な動きをする場合は流石にキツイですね。

最短付近はかなりシビアですが、身体を前後に動かして調整すると意外と撮れたりします。

※ジャスピンではなく、少しピンぼけしてるくらいの方が柔らかく、意外と良い写真と感じることもあります。

6.まとめ

開放からの解像感重視のレンズが増えている中で、キラリと光る個性派レンズだと感じました。
操作性の素晴らしさと絞りによる描写の変化も相まって、撮る行為自体を楽しくさせてくれます。
動体以外のスナップにはついチョイスしてしまう魅力を持っているレンズだと思います。

ハマるハマらないが分かれるレンズかと思いますが、気になる方は是非チャレンジして欲しいです!


作例

X-PRO3 F4.0 1/125s 露出+1 ASTIA DR400% ホワイトバランスオート シャドーハイライト0
F1.2
F5

枝でうるさくなりがちな背景を上手くぼかしてくれています。
ちなみに寄ればF4.0でもかなりボケてくれます。
花の色も優しく発色してくれました。

絞ればかっちりです(F4.0)
質感描写も得意で、冷たそうなものは冷たそうに描いてくれます
X-H2 F2.8
X-H2 F1.2
X-PRO3 F5.6 1/160s 露出-0.3 クラシッククローム DR100% ホワイトバランスオート シャドーハイライト-2

絞ると綺麗に光条が伸びます。

クラシックネガもマッチしますね。
X-PRO3 F2.5 1/240s 露出+0 ASTIA DR100% ホワイトバランスオート シャドーハイライト0
noktonの名前だけに夜のスナップも良い描写です
周辺減光が良い味出しています
X-PRO3 F1.2 1/60s 露出+0 ASTIA DR100% ホワイトバランスオート シャドーハイライト0

開放での一枚です。
空のグラデーションをきれいに捉えてくれました。
ここまでハイライト部が無いと、開放でもふんわりならずしっかり目に描写してくれます。

滑らかなボケと美しい玉ボケ。
ピントの合っている箇所には立体感を感じます。
これでF3.6なんです。
X-PRO3 F3.2 1/60s iso3200 露出-0.3 クラシッククローム DR100% ホワイトバランスオート シャドーハイライト−2
X-Pro3 F3.6 ASTIA
お気に入りの一枚。
柔らかさを残しつつ、解像感も出ています。
ASTIAの色味も相まって、撮って出しとは思えない一枚です。
X-PRO3 F1.2 1/450s 露出−1 ETERNA DR100% ホワイトバランスオート シャドーハイライト-2 ボケだけで成立している一枚だと思います
X-T4 F2.0 露出0 クラシッククローム DR100% ホワイトバランスオート カラー+2
X-T4 F1.2 露出0 クラシッククローム DR100% ホワイトバランスオート カラー+2
焦らずピント合わせすれば、意外と瞬間も撮影可能です。
乙女椿です。
花びらの立体感と質感描写が堪りません。
ハイキーな作風にもぴったりです。
どこかドリーミーな雰囲気を纏って。

良いな、と感じたものがあれば作例は追加していっています。
ここまでご覧頂きありがとうございました!