フォクトレンダー MACRO APO-ULTRON 35mm F2 レビューと作例
“…weil das Objektiv so
gut ist”なぜならレンズがとても良いから
本ブログをご覧頂きありがとうございます。
今回はコシナ フォクトレンダーのMACRO APO-ULTRON 35mm F2のレビューと作例をお届けします。
コシナだからこそ成し得る、珠玉の一本です。
1.スペック
重さ | 265g |
サイズ | 60.7mm×54.8mm |
フィルター径 | 49mm |
レンズ構成 | 6群9枚 |
絞り羽根 | 10枚 |
最短撮影距離 | 0.163m |
最大撮影倍率 | 0.5倍(フルサイズ換算0.75倍) |
電子接点 | 有り |
フォーカス方式 | マニュアルフォーカス |
防塵防滴 | 無し |
携帯性
「小さく軽い」というわけではありませんが、新プライムと比較すると軽さを感じます。
適度な長さもあり、両手で持つには快適そのものです。
X-H2との組み合わせが大変良く、軽すぎずにやる気の出るサイズ感だと感じます。
ビルドクオリティ
総金属製で高級感を感じます。
NOKTON 35mm F1.2と比較してフォーカスリングは若干軽めですが、すぐに慣れました。
本レンズも狙った箇所でピタリと止まるので、ピント合わせはしやすいです。
絞りリングはかなり節度感を持たされており、勝手に回ることがないよう仕上がっています。
少々細さは感じますが、そこにあると分かっていれば操作しにくいことはありません。
またNOKTONとは異なり、絞りリングの位置が純正と同じな点もポイント。
コシナらしく、操作感は最高の一言です。
2.特徴
APOの名の通り、色収差は良く抑えられています。
開放からよく写りますがカリカリではなく、解像感と柔らかさのバランスが絶妙。
近接重視の性能ですが、2段絞れば遠景の四隅までばっちり。
ハーフマクロながらF2.0という大口径を達成しており、寄らない場合にも単焦点の強みを活かした撮影が可能です。
強み
近接が得意
マクロの名前の通り、近接が得意なレンズです。
カミソリのようにシャープに写るレンズでは無いですが、柔らかさと解像感を持ち合わせた写りをします。
特に寄りのポートレートや草花撮影は解像感が有りながらも、滑らかなスキントーンを出せます。
クセになる立体感
主に中距離に被写体を置いた際に発生しますが、背景と分離し立体感が出る傾向があります。
条件は?ですが、撮っているだけで楽しいです。
美しいボケ
寄った際はもちろんのこと、ボケ量が不足しても絞ってもボケは美しさを保ちます。
開放です。
F5まで絞ってもご覧の通り。
しっかり抑制された色収差
APOの名前の通り色収差はしっかり抑制されており、厳しいシチュエーションで僅かに目に付くレベルです。
画面右上に僅かに出ています。
画面右上拡大です。
独自のキャラクター性
ハーフマクロではありますがF2を達成しており、他のマクロレンズと比較して0.5〜1段分の優位性が有ります。
突き詰めたマクロ撮影は倍率上及ばない点も有りますが、大口径単焦点とマクロレンズの良いとこ取りをしたような使い勝手だと感じます。
同じく標準マクロのXF30mm F2.8との比較画像です。
焦点距離も異なるので純粋なF値の違いから来るボケ量の比較になりませんが、ご参考までに。
1枚目が35mm F2、2枚目がXF30mm F2.8です。
スペック上は僅かな差ですが、実写ではそれ以上に差を感じます。
弱み
遠景はわずかに弱め
近接に重きを置いた反面、遠景は開放だと少しふわっとします。
中央は開放から解像していますが、細かい事を言えば四隅は幾分か落ちます。
2段絞ればしっかり立ち上がり、4000万画素にも対応するレベルに。
開放遠景です。
MFレンズであること
敢えて書く必要は無いと思いますが・・・
・MFレンズのため、急なピント合わせは難しい
・防塵防滴がないので、雨の日には持ち出せない
・絞りオートも不可のため、SS優先やPモードは使えない
じっくり撮影するのに向いたレンズです。
その他
光条は一段絞るだけで伸びます。
玉ボケは開放は口径食が出ます。
絞るとシチュエーションによっては角張りが目に付いたり欠けたりしますが、概ね満足出来るレベルです。
開放。
F2.8に絞ると口径食は減りますが、角ばったり隅の変形が目につくことも。
逆光耐性は程よくフレアとゴーストが出る、心地良いレベル。
NOKTON 35mm F1.2のように開放だと大暴れ、という事はありません。
あと使い勝手の点についてです。
ピントリングの大半をマクロ領域に使用しており、1m以降の調節量が少ないため、寄らない場合のピント合わせが結構シビアです。
その撮影が多い方にはストレスになる可能性があります。
3.作例
基本的に雰囲気良く写るレンズですので、そこを感じて頂ければなと思います。
いつも通りまずは草花から。
やはり寄れるレンズは正義です。
F4まで絞っていますが、ボケは美しいです。
上からF2.0→F2.8→F4.0です。
寄りと引きでバリエーションが付けられます。
アンダー目の描写もばっちり。
換算53.5mmの画角はスナップにも向いています。
レンズが重くないので軽快に切り取れます。
後ボケの感じが大好きです。
良いレンズの1つの特徴として、ガラスや水面の反射が何処か魅力的に写る点にあると思います。
この描写、私は好きです。
この電話ボックスも何処か立体感を感じます。
解像感をお伝えするにはやはり人工物が良いですね。
2段絞ればご覧の通り。
物撮りにも。
テーブルフォトにも。
焦点距離上逃げられてしまいがちですが、生物を撮るにも。
防塵防滴は無いものの、寄れるメリットを活かして身近な被写体を切り取っていけるレンズです。
4.まとめ
ハーフマクロながらF2の大口径としても使用出来るので、活躍の幅が広いレンズです。
写りも純正とは異なる味わいが有り、美しく写ります。
ビルドクオリティも大変高くMFもしやすいので、MF未経験の方もぜひ試して見てください。
じっくり切り取る体験もクセになりますよ。
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