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XF56mm F1.2 R WRとXF50mm F1.0 R WRの両方購入しての比較記事

大口径中望遠単で悩んでいる方に送る、比較使用した感想記事

いつも本ブログをご覧頂きありがとうございます。

今回はXマウントが誇る、大口径の中望遠単焦点を両方購入してみて気付いた違いについてお送りします。
焦点距離もF値も近くこの二本のどちらを選ぶか悩まれている方もいらっしゃるだろうと思いますので、ご参考になれば幸いです。

※個別のレビューもぜひご覧ください!

「このレンズでしか撮れない世界がある」XF50mm F1.0 R WR レビューと作例

現代レンズ ここに極まれり XF56mm F1.2 R WR レビュー

結論

・基本的にはXF56mm F1.2 R WRがオススメ

・楽しさ、ロマン優先の方はXF50mm F1.0

カタログスペック比較

XF56mmXF50mm
F値F1.2F1.0
サイズ79.4×76mm87mmx103.5mm
フィルター径67mm77mm
重さ445g845g
レンズ構成8群13枚9群12枚
絞り羽根枚数11枚9枚
最短撮影距離0.5m0.7m
最大撮影倍率(フルサイズ換算)0.21倍0.12倍
防塵防滴
AFDCモーターDCモーター

カタログスペックだけ見ると、XF56mm F1.2はF値以外は優っていますね。
特に大きな差を感じるのは以下の点です。

最短撮影距離と最大撮影倍率

フルサイズ換算で、XF56mmは0.5mの0.21倍、XF50mmは0.7mの0.12倍です。

XF50mmは、フルサイズの85mm F1.2クラスと大体同じレベルですが、スナップや花の撮影などに使用していると「もう寄れないの!?」という事が有ります。
あくまでポートレート用レンズだな、という印象を受けます。

対する56mmはそこからもう半歩踏み込める感覚で、他の85mm系のレンズと比べても、最短撮影距離と最大撮影倍率は頭一つ抜けている感覚です。

スナップや子供を撮影する上で、寄れる事は使い勝手や表現に関わってきますので、より寄れる方が良いですね。

重さ

56mmは445g、50mmは845gと丁度400gの差が有ります。

56mmは写欲を削ぐ事がなく撮影に集中できる、かつ持ち運びも容易なサイズ感と言えます。

対する50mmは、重いと言わざるを得ません。
-H2などのグリップがしっかりしたカメラなら片手でもまだ扱えますが、T4などのグリップだとつまむような握り方になり、指が攣りそうになります笑
基本的に左手はレンズを支えることになり、両手でのハンドリングが基本ですね。

これ一本で勝負するなら良いのですが、レンズを複数本持っていく前提だと、どうしても他のレンズの選択肢が狭くなってしまう欠点を感じます。
例えば、XF16-55mm F2.8とXF50-140mm F2.8と本レンズで2.5キロ、-H2を加えると3.2キロになってしまい、ここにさらにレンズを追加するのは・・・と躊躇います。

カタログスペック以外の比較

ビルドクオリティ

共に金属製で、高級感を感じる作りとなっています。
フォーカスリングも適度な抵抗が有り、操作しやすいです。
違いは絞りリングの節度感で、XF50mmの方が軽く知らない間に回転している事が有るのに対して、XF56mmはもう少しだけ節度感が有ります。

写り

実写画像を見ながらご説明したいと思います。
F1.2とF1.0の差はあるのでしょうか?

※特に記載がない限りは開放絞りです。

ボケの滑らかさ

似たような画角で撮影してみましたが、ボケは主観が入るのでご参考までに。

XF56mm
XF50mm

共に美しいボケですね。
ある程度寄ると、互いに見分けが付かないほど綺麗にボケます。

それでは、離れた場合はどうでしょうか?

XF56mm
XF50mm

この2枚の場合も大きな差は無いですが、強いて言うならボケ量の差もあり、XF50mmの方が綺麗かな・・・という印象を受けました。

使用していても56mmの方が綺麗にボケた、と感じることはありません。

ボケの美しさは大きな差こそないものの、XF50mmに軍配が上がります。

手前ボケもご参考までに。

56mm
50mm

玉ボケ

XF50mmは9枚、XF56mmは11枚絞りですが、その差を見ていきましょう。

XF50mm F1.0
XF50mm F2.0
XF50mm F2.8
XF56mm F1.2
XF56mm F2.0
XF56mm F2.8

共に開放で口径食が出て、F2.0で大体端まで丸になります。
次は拡大で見てみましょう。

XF50mm F2.0
XF50mm F2.8
XF56mm F2.0
XF56mm F2.8

XF50mmはF2.0でほぼ真円になりますが、状況によっては角張が目立つ場合も有ります。(特に光源が強い場合)
F2.8だと角張りが目立ちますが、7枚絞りの旧56mmや90mmと比較すれば角張りはよく抑えられています。

対するXF56mmは、F2.8まで絞っても角張りは抑えられています。
流石は11枚絞りといったところでしょうか。

ちなみに目立った玉ねぎボケは2本とも確認出来ません。
ハイレベルな玉ボケを楽しめるレンズと言えるでしょう。

シャープネス

開放のシャープネスを比較します。

XF50mm
XF56mm

拡大してみます。

XF50mm
XF56mm

見比べて頂いて、いかがでしょうか?
X-H2を使用しているXF56mmにアドバンテージがありますが、それを差し引けば50mmも大差は感じない写りです。

ただし、基本的には画面全域で解像感が高いのは56mmの方となります。

パープルフリンジ

XF50mm
XF56mm

XF50mmは開放だと、コントラストが高い箇所にはパープルフリンジはそれなりに出ます。
抑えようと思うとF2.0-2.8まで絞る必要があります。
対するXF56mmは、この程度なら発生しません。

次はもう少し過酷な高コントラスト部分です。

XF50mm
XF56mm

ぱっと見で分かるレベルで50mmは出ていますが、56mmはよく抑えられています。

拡大で見てみましょう。

XF50mm
XF56mm

画面上部の拡大です。
XF50mmはそれなりに出ていますが、F1.0の割にはよく抑えられています。
XF56mmは僅かに色付いているもののよく抑えられており、流石の一言です。

実際に人の撮影にも両レンズを使用しましたが、 XF50mmは高コントラスト部分、例えばメガネや瞳の反射部分などにパープルフリンジが出てしまいました。
その点では気を使うレンズと言えます。

対する56mmはしっかり抑制されており、気を割かず撮影に集中できました。

最短撮影

スペック上ではXF56mmが50cm、XF50mmが70cmです。
この20cmの差が実写でどれくらいの差が出るか、画像でご覧ください。

XF50mm
XF56mm

感覚的には50mmはもう寄れないの?に対し、56mmはそこからもう一寄り出来ます。

※マクロエクステンションチューブであるMCEXで補う方法も有りますが、合焦範囲が狭くなり無限遠にピントが合わなくなるので、万人にはオススメ出来ません。

どちらのレンズを選ぶべき?

基本的にはXF56mm F1.2 R WRをお勧めします。

理由はいくつかありますがXF50mm F1.0と比較して、

シャープネスは上で、ボケ味も大きな差はない
よりしっかり抑制された色収差
値段も約7割

そして何より、重さが半分という点です。

軽さは正義です。

また最短撮影距離が20㎝短い点も使い勝手において、大きな差別点になります。

XF56mm F1.2 R WRの作例

絞っても、ボケは美しいまま。(F2.0)

ここまで寄れない50mmでは撮れない1枚です。

ほぼケチのつけようのない玉ボケ。

と、実用面で言えばXF56mm F1.2 R WRがオススメですが、XF50mm F1.0も大変素晴らしいレンズです。

XF56mm F1.2 R WRがクリアでシャープな現代的なレンズだとすれば、XF50mm F1.0は味わいが感じられる、ある種突き抜けた描写をするレンズです。
例えるなら、XF33mm F1.4対XF35mm F1.4になるかと思います。

基本的な性能はXF56mm F1.2 R WRに譲る形ですが、XF50mm F1.0は後から見返してハッとするような一枚が撮れる確率が高いように感じます。

XF50mm F1.0 R WRの作例

お気に入りの1枚です。
被写体と背景が分離した写真が撮りやすいのもこのレンズの特徴。
美しいボケと浅い被写界深度が合わさって、絵画的な1枚が撮れたりします。

この雰囲気が好きなら、要検討です。

換算で9mm差ですが、このゆとりも本レンズの強み。

水の質感が素晴らしいです。

重さやパープルフリンジなど、欠点を織り込み済みでもスペシャルな一本が欲しい方にはXF50mm F1.0をオススメします。

まとめ

色々書きましたが、結論としては

隙の無い実用的なレンズが欲しい→XF56mm F1.2 R WR

欠点が有ってもワクワクする、特別なレンズが欲しい→XF50mm F1.0

となります。

ですが、2本とも素晴らしいレンズで有ることには変わりがありません。

どちらを選んでもズームとは一線を画す、大口径中望遠単の描写が楽しめます。

この記事が悩まれている方の一助となることを願って、結びの言葉とさせて頂きます。

ここまでご覧頂きまして、ありがとうございました。